給与
条例
主義
主義を定めた法令の規定の趣旨に加えて,普通 地方公共団体の職員に対する給与に関する上記各法令の規定の文言及びその 沿革にもかんがみると,これら法令の規定は,普通地方公共団体の職員に対 する給与について,常勤の職員の場合であると非常勤の職員の場合であると を問わず,その支給要件及び支給額を条例において具体的に規定することを 予定しており,事柄の性質上その決定を普通地方公共団体の長又はその制定 する規則にゆだねることを一切許容しない趣旨のものとまでいうことはでき ないものの,これを規則等の定めにゆだねる場合においても,少なくとも当 該種類の給与の支給要件該当性及び支給額を決定するための具体的な基準が 当該条例自体から読み取れる程度に条例においてこれを具体的に規定するこ とを要するものと解すべきであり,条例において単に給与の支給根拠のみを 定め,具体的な額,支給要件等の基本的事項をすべて普通地方公共団体の長 又は規則に委任するようなことは,長の恣意的な給与の支給を許すことにつ ながりかねず,職員に法定の給与を保障するという観点からも,給与の額及 びその支給方法に対する民主的統制を図るという観点からも,給与条例主義 の趣旨に反し,許されないものというべきである(前記昭和54年8月31 日自治給発第31号通知参照)。
確かに,被告らも主張するように,前記6(1)イ及びウのとおり,国家公 務員の一般職(同法にいう一般職は地公法にいう一般職とは異なるものであ って,国家公務員法にいう一般職の職は地公法にいう一般職の職よりも相当 広範囲に及んでいる。)に属する非常勤の職員に対する給与については,一 般職職員給与法22条2項において,同条1項に規定する職にある者以外の 非常勤職員については,これらの非常勤職員の雇用及び勤務の実態が区々で あり,実際問題としてあらかじめ法律等により具体的な基準までを詳細に定 め難い事情にあることにかんがみ,一般職職員給与法においては「常勤の職 員の給与との権衡を考慮し」という基本的基準のみが規定され,各庁の長が 「常勤の職員の給与との権衡を考慮し」て予算の範囲内で給与を支給するも のとされている。
そして,被告らも主張するとおり,普通地方公共団体の非 常勤の職員は,議会の議員その他の法定の一定範囲の者を除くと,一般職職 員給与法22条2項所定の常勤を要しない職員と同様に,その採用の形態, 職務内容,勤務態様は多種多様なものが想定され,一般には,性質上一律的 な規律には必ずしもなじまないと考えられることに加えて,普通地方公共団 体の非常勤の職員に関する地公法及び地自法その他関係法令の規定からすれ ば(前記6(1)参照),普通地方公共団体の非常勤の職員の制度は,一般職 に属する常勤の職員を中核とする人的体制を補完するものとして,その時々 の行政需要に柔軟に対処するための制度として設けられている面がうかがわ れないではない。
また,地公法22条2項又は5項の臨時的任用職員につい ても,これを行うことができるのは,原則として,緊急の場合,すなわち, 地公法17条所定の任用の手続をとるいとまがなく緊急に職員を任用する必 要がある場合と,臨時の職に関する場合,すなわち,当該職自体の存続期間 が暫定的なものである場合とに限定されているのであって,これらにかんが みても,被告らの主張するとおり,普通地方公共団体の臨時的任用職員の制 度は,非常勤の職員の制度と並んで,一般職に属する常勤の職員を中核とす る人的体制を補完するものとしてその時々の行政需要に柔軟に対処するため の制度として位置付けられている面がうかがわれるところである(以上は, 臨時又は非常勤の職については条例で定数を定めることを要しないものとす る地自法172条3項等の規定の趣旨からも裏付けられるところである。)。
このように,普通地方公共団体の非常勤職員と常勤職員とには大きな差異が 存する。
のみならず,これらの非常勤の職員及び臨時的任用職員が地方公共 団体のいわゆる補助的業務に従事することが想定されているのに対し,一般 職の常勤の職員が従事することが想定されている業務(本格的な業務)であ っても,一定の期間内に終了することが見込まれるもの,一定の期間内に限 り業務量の増加が見込まれるもの,当該業務に係るサービスの提供時間を延 長し又は繁忙時における提供体制を充実する必要があるもの等について,地 公法28条の5にいう短時間勤務の職に相当するような職を設けるなど,こ れらの行政需要に時宜に応じて柔軟に対処することができるための人的体制 を設ける必要性がかねてから指摘されており,平成16年法律第85号によ る任期付職員採用法の改正による立法化をみたところであるが,それ以前に おいても,上記のような人的体制が上記の一般職に属する常勤の職員を中核 とする人的体制を補完するものとして設けられていた地方公共団体も少なく ないと考えられるところ,そのような人的体制(職)に充てられる職員につ いても,当該職員が地自法にいう常勤の職員であると非常勤の職員であると を問わず,その採用の形態,職務内容,勤務態様は多種多様なものが想定さ れ,一般には性質上一律的な規律になじみ難いと考えられる点において,上 記の補助的業務に従事すべきものとされる非常勤職員及び臨時的任用職員と 異なるところがないということができる。
しかし,前記6(1)ウに説示した 国家公務員及び地方公務員の給与に関する法令の規定の沿革をみると,国家 公務員の一般職に属する非常勤の職員に対する給与については,昭和25年 12月制定の同年法律第299号による改正後の一般職職員給与法22条2 項において,これらの非常勤の職員に対する給与の支給について,法におい ては基本的基準を示すのみにとどめ,具体的な給与の決定は予算の範囲内で 各庁の長の裁量にゆだねる仕組みが採用されたにもかかわらず,普通地方公 共団体の非常勤の職員に対する給与について地自法及び地公法において上記 改正後の一般職職員給与法の非常勤の職員に対する給与の規定に準じた規定 は設けられず,昭和31年法律第147号による地自法の一部改正(昭和3 1年改正)において,地方公共団体の職員に対する給与について,国家公務 員に対する給与の基本の体系と一致させる形で給与体系を整備する趣旨で関 係条項の改正及び新設が行われたものの,地自法203条1項所定の普通地 方公共団体の非常勤の職員の報酬,費用弁償及び期末手当についても同法2 04条1項所定の普通地方公共団体の常勤の職員の給料,手当及び旅費につ いても,その額及びその支給方法を条例で定めなければならないものとされ た上(地自法203条5項,同法204条3項),いかなる給与その他の給 付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには上記非常勤の職員にも常勤の 職員にも支給することができないものとされて(同法204条の2),これ らがそのままの形で現行法(地自法にあっては平成20年法律第69号によ る改正前の規定。
ただし,同改正後の地自法も同旨の規定を置いて給与条例 主義を維持している。
付随的債務の不履行
(1)ア設計及び施工を請け負う本件請負契約においては,施主である原告の希望に沿った建物を建築するという契約の目的を達成するため,請負人である被告は,同契約に付随する債務として,本件建物に関する法令上の制限を正確に把握し,これを施主である原告に説明しなければならないのはもちろん,仮に,規制内容の把握の誤りなどから当初の施主である原告に対する説明に不備があった場合,これを直ちに訂正の上,設計変更の必要などを協議すべき義務があったというべきである。
しかるに,本件土地は,本来,第1種住居地域に指定され,高さ20メートル以内,建ぺい率60パーセント以内,容積率200パーセント以内の制限とされていたに過ぎないが,被告代表者Bは,本件土地がより厳しい制限がされる第1種中高層住居専用地域であると誤解して,地盤面から約10メートルに相当する「3階までしか建てられない。」などと説明し,そのためHらは本件建物を4階以上とすることを断念するに至った。
また,被告代表者Bは,本来の法令上の制限を知ったJから説明を求められた際も「RCにしたので後でも積める。」などとはぐらかし,正確な規制内容の説明や設計変更の打診もしていない(上記2ウ(ア)の認定事実)。
そうすると,被告が上記付随的債務の履行を怠ったことは明らかである。
この点,被告は,4階建てとすれば増加する居室に対応する駐車場を確保することができない,本件建物を4階建て以上とすると建築基準法上の日影規制に反することになるなどと主張する。
しかし,そもそも,建物の階数,駐車場の数,部屋数などは,敷地及び建物の所有者である施主が法令上の制限の範囲内で判断すべきものであり,その正確な説明を欠いた以上,その付随的債務の不履行は否定できない。
また,被告の主張する日影規制は第1種中高層住居専用地域の規制であり,その前提を誤っている(乙15,60,61)。
本件土地における本来の日影規制(建築基準法56条の2,愛知県建築基準条例)に従えば,規制に抵触する部分はわずかであり(日影図(乙61)によれば,屋外階段部分による日影の一部が日影規制に抵触する程度である。),建物の位置や形状を調整すれば4階建てとすることも可能であった。
したがって,被告の同主張は採用できない。
イ設計図書は,工事内容を確定する資料であるし,見積書(内訳書)及び工程表は,工事内容の変更による請負代金の増加額の算定(約款29条2項,甲1)や工事の出来高の算定の基礎資料となる。
また,これらの資料は,施主において工事の進捗状況を把握する客観的な指標として請負人による適正な債務の履行を担保するものであり,施主・請負人間に良好な信
頼関係を築いていく上で重要な意義を有する。
そのため,約款4条は,「請負者はこの契約を結んだのちすみやかに請負代金内訳書および工程表を,監理者に提出してその承認を受ける。」と規定している。
原告は監理者を選定していないから,同規定の直接適用はないが,同規定の趣旨からして,設計及び施工を請け負った被告は,本件請負契約に付随する債務として,設計図書,見積書及び工程表を作成したならば,施主である原告に対し,これらを速やかに交付すべき義務があったというべきである。
しかるに,被告代表者Bは,Hらに対し,本件請負契約締結時,本件建物の概要及び縮尺200分の1の平面図・立面図が記載された書面1枚(甲1)を交付したのみである。契約締結から約2か月後の平成15年5月19日に設計図書が,原告の工事中止の指示があった同年8月8日に見積書及び工程表が交付されたに過ぎない(上記2の認定事実)。
そうすると,被告が上記付随的債務の履行を怠ったことは明らかである。
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受け継がれている経過が明らかである。
以上のよ うな関係規定の沿革にかんがみると,昭和31年改正においては,普通地方 公共団体の非常勤の職員の給与の支給について,国家公務員の一般職に属す る非常勤の職員に対する給与について一般職職員給与法(ただし,昭和25 年法律第299号による改正後のもの。)が採用した仕組みとは異なる立法 政策が採られたものと理解せざるを得ない。
このような国家公務員及び地方 公務員の給与に関する関係規定の沿革等に加えて地自法及び地公法の給与に 関する関係規定の文理に照らしても,普通地方公共団体の職員に対する給与 その他の給付の支給についてのいわゆる給与条例主義を定めた関係規定(地 自法203条5項,204条の2等)について,一般職職員給与法(ただし, 昭和25年法律第299号による改正後のもの。)22条2項の規定の趣旨 をしんしゃくして,同項所定の常勤を要しない職員と同様にその採用の形態, 職務内容,勤務態様が多種多様で性質上一律的な規律になじまないと考えら れる職員(地自法にいう常勤の職員であると非常勤の職員であるとを問わな い。)の給与については,一般職職員給与法22条2項と同程度の規定の仕 方により,条例において給与の額及び支給方法についての基本的基準のみを 定め,その具体的な決定を当該普通地方公共団体の規則又は長若しくは任命 権者にゆだねることも給与条例主義に違反しないというような解釈をするこ とは困難というべきである。
なお,被告らは,職員の団結権及びそのための交渉権を認めた地公法52 条1項及び同法55条1項と給与条例主義とを矛盾なく解釈するためには, 給与についての議会の決定が上記各規定に基づく交渉の余地があるものであ ることを要する旨主張するところ,確かに,地公法は,地方公共団体の一般 職の職員につき,その勤務条件の維持改善を図ることを目的として職員団体 を結成することができるものとし(同法52条),同法53条の登録を受け た職員団体から職員の給与等に関して適法な交渉の申入れがあった場合にお いては,当該交渉事項について適法に管理し又は決定することのできる地方 公共団体の当局は,その申入れに応ずべき地位に立つものとされている(同 法55条)が,職員団体と地方公共団体の当局との交渉は,団体協約を締結 する権利を含まず(同条2項),職員団体は,法令,条例,地方公共団体の 規則及び地方公共団体の機関の定める規程に抵触しない限りにおいて,当該 地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができ,上記協定は,職員 団体及び当該地方公共団体の当局の双方において,誠意と責任を持って履行 しなければならないとされているにとどまる(同条9項,10項)ことなど からすれば,地公法の職員団体に関する上記各規定を根拠に同法及び地自法 の定める給与条例主義は条例における給与の額及びその支給方法についての 定めが職員団体の給与に関する交渉の申入れに応ずべき地位に立つ地方公共 団体の当局において当該交渉に基づく決定の余地を残した幅のあるものであ ることを許容する趣旨のものであると直ちに解することはできないというべ きであり,被告らの上記主張は採用することができない。
第3 当裁判所の判断
1 当該職員該当性(本案前の争点?)について
(1) 本件訴えのうち,本件当該職員に損害賠償の請求をすることを求める各 請求は,いずれも地自法242条の2第1項4号本文前段の当該職員に損害 賠償の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関に対して求める請 求である。
(2) ところで,地自法242条の2第1項4号本文に基づく「当該職員」に 係る請求は,同号本文前段所定の当該職員に該当する者に対して当該普通地 方公共団体が有する損害賠償請求権又は不当利得返還請求権の行使を当該普 通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める住民訴訟であって,自己 の法律上の利益にかかわらない当該普通地方公共団体の住民という資格で特 に法律の規定によって出訴することが認められている民衆訴訟(行訴法5条 参照)の一種であることにかんがみると,当該請求において損害賠償等の請 求の相手方とされている者が同号本文前段所定の当該職員たる地位ないし職 にある者に該当しないと解されるとすれば,そのような請求は,法律の規定 により特に出訴が認められた住民訴訟の類型に該当しない請求として,不適 法といわざるを得ないこととなる(行訴法42条参照)。
そして,当該職員 とは,住民訴訟制度が地自法242条1項所定の違法な財務会計上の行為又 は怠る事実を予防又は是正しもって地方財務行政の適正な運営を確保するこ とを目的とするものと解されることからすると,当該請求においてその適否 が問題とされている財務会計上の行為を行う権限を法令上本来的に有するも のとされている者及びこれらの者から権限の委任を受けるなどして上記権限 を有するに至った者を広く意味し,その反面およそ上記のような権限を有す る地位ないし職にあると認められない者はこれに該当しないと解するのが相 当である(最高裁昭和55年(行ツ)第157号同62年4月10日第二小 法廷判決・民集41巻3号239頁)。
相続税の対処方法
交通事故にあったら
過払い金のノウハウ